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調査研究の部屋

生きる場の今と未来を問うことから

教育システムという視点から

学校教育デジタル化のリアルのために(その2)

静岡と秋田の先生方から学校教育デジタル化を危惧する情報が・・・
―2021年4月1日「学校デジタル化事始め」が困難⁉―

1)2021年3月20日 
 秋田大客員教授の濱田純先生から学校の現状と課題のメールが届きました。
「先週の水曜日17日に北秋田市生涯学習課の方とお話しする機会があり、4月からのタブレット活用について以下のように提案してまいりました。
北秋田市の家庭におけるWi-hi環境は脆弱とのことでしたから、放課後子ども教室を活用してはどうかという提案です。放課後子ども教室がある公民館にWi-hi環境がない場合は、学校の空き教室を活用すると環境的には問題はありません。
支援員については退職した教員の活用、あるいは現職教員の活用が可能です。
特に秋田県の中学校では、部活前に空き教室で家庭における課題学習を行ってから部活をするという市町村が多いから一石二鳥です。
いずれ、4月5月の少なくとも2か月間は児童生徒がタブレットを自在にこなす事ができるように保証することが大事です。
以上ですが、4月に入れば県内先進教育委員会を訪問し、現状を調査してまいります。」

2)2021年3月23日 
 富士宮東小の米津校長から配布されPCを収納した各教室の充電器保管庫の写真ととともに進行状況と課題の情報が届きました。
 ◆教室に配置される前の収納部屋にある充電器保管庫の写真です◆
  CIMG9294 え CIMG9298 PC充電器格納庫
(1)業者によるPCの調整が終わりしだい、年度初めに向けて以下の作業を行います。
 ① 教室のどこに収納庫を置くか担任が決めます。
 ➁ PCを収納庫から取り出して、担任が子供の名前のラベルを貼ります。        
 ③ PCとPCを収納する場所に番号シールを付けます。
  (PCを収納する場所が子供に分かるようにするためです)
 ④ PCを収納し、充電します。 
(2)PCの活用準備について
 ① PC端末の収納庫について
   ➡PC端末がセットされていますが、調整中のため使用できません。
   (約600台を同時に充電すると、電源が落ちてしまうため)
 ② 今後の取組について
   ➡毎朝、8:05~8:15、子供たちがPCに触れるようにします。
   ★読書活動とPC活動を交互に行う予定です。
   ★水曜日の研修日に、教員向けのPC研修を行います。
 ③ 学年別の主な指導内容について(検討案として)
     ・1年:PCの起動と終了の仕方、ペイントソフトでお絵かき
  ・2年:写真と動画撮影の仕方、印刷の仕方について
  ・3年:キーボードによる50音の入力、ネット上の検索の仕方
  ・4年:キーボードによる正しい入力の仕方、ネット検索の仕方
  ・5年:写真と動画の必要に応じた選択と活用、
      文字と画像を合わせた文書の作成
  ・6年:目的におけるアプリケーションの選択と操作

3)2021年4月3日 
 富士宮東小の米津校長から進捗状況変化の緊急メールが届きました

 
お約束した新学期とともに開始するはずであったPC端末に関する進捗状況について、本校の現状をお知らせします。本来ならば、この4月からPC端末の学習を始め、5月初めの連休には家庭にPC端末を持ち帰り、家庭学習を行う予定でしたが、家庭持ち帰りは6月末頃になりそうです。
 遅れた理由は、次のとおりです。
  ・ワイファイ環境改善と電源供給改善の遅れ
  ・PC収納庫の設置場所の問題
  ・PC端末への使命のラベル貼り等に時間がかかる問題
  ・PC端末以外の4月の学級事務に関する業務量の多さ
 以上のことから、大幅に遅れています。職員のPC研修についても、令和2年度末の人事異動で12名の教職員が入れ替わったため、PC研修の内容を見直しているところです。
 まだまだ見通しが立たない状況です。簡単ですが報告します。

4)21年4月3日 
 秋田市立八橋小に勤務校が変わった渡部先生からも同様のメールが届きました。
◆新しい学校に赴任して◆
新年度に入り,各学年の学級数や人数等に変更があり,学級配置も変更に。それに伴い,前年度に設置した保管庫を新しい教室に移動しなければならなくなっています。
ということは,毎年工事が行われるのかも?
タブレットの活用は五月以降になる予定。どんな使い方をすることになるのか?
今までの所,これまでの調べ活動やまとめ活動くらいしか,語られていないような。
研修会が待ち遠しくなってしまう。

5)21年4月7日 
 友人の静岡市職員に依頼した静岡市教育センターへの聞き取り調査のメモが届きました
(1)小中学校におけるタブレットの状況について
 (静岡市の初年度のPC配布対象は小4年以上の児童生徒。
  教員は配布対象外・・馬居注記)
(2)確認内容
 ①教職員へのタブレット支給について
  今年度中に「小学校3年生」+「学級数分(教職員)」の配備予定
  現状は、昨年度配備したものを学校の運用の中で、
  工夫して使用することになります。
 ②タブレットの充電:キャビネットを全教室に配備済み。
 ③インターネットヘの接続:ローカルブレイクアウトを今年度計画              
  小学校38校、中学校27校計65校。(年度内に工事を完了予定)。
(3)今後について
 昨年度、小学校4年生から中学校3年生までのタブレットを配備したので、実質的な運用はこれからです。運用上の課題への対応は今後となります。

  秋田、静岡ともに、昨年の長期休校時から継続調査をお願いした先生方の学校には、PCは届きましたが、新年度開始と同時にデジタル機器活用授業の準備開始というわけにはいかないようです。
 そのため、新たに馬居研究室の卒業生から静岡県内小学校教員を選んで電話取材を試みました。その結果、退職直前の卒業生で、沖縄、秋田、岡山、韓国、台湾での調査をともにしたÑ君が、本年2月半ばの時点で、子どもたち全員に届いたiPadを積極的に活用していることがわかり、名称と学校名を公開しないことを前提に、率直な現状報告のメールを依頼しました。

6)21年4月3日
 馬居研究室卒業、静岡県内公立小のN先生(20代後半)からの報告
 ◆iPadの導入について感じていること◆
・事前の研修時間がほとんどなく、機能について十分に理解できていない。私ですら困っているので、ご年配の先生方は大変なことになっています。それでも、「慣れる他なし」という心持ちで皆が励んでいます。普段の仕事量が不変のままでは疲弊度が増していくばかりです。
・持ち帰り訓練を実施したが、返信の見届けをして頂けない保護者や20時以降に、不必要な投稿をする子への家庭での指導などが無く、家庭での受け入れ準備の促進や情報モラルの課題が浮き彫りとなりました。これでは、賛成派の保護者も疑念や不安を抱くかもしれません。
・家庭での間違った使い方や放課後の児童間のトラブルを学校で指導したり、解決したりするのは、業務の増大に繋がっています。このままでは、精神的なストレスも増えていきます。先生方の健康面も心配されます。
・調べ学習やPPT作りなどが、自由な時間で、どこでもできる利点は素晴らしい。また、eライブラリーという学習支援アプリを使うことで、復習をさせるのが容易になった。さらに、ソフトを使用してタイピングスキルを向上させられるのも良い。他にも、アプリケーションでワークシートをデジタル化し、活動の様子を教師用端末から一覧できたり、ヒントや支援を画面上で行えたりできるのは個別支援の可能性を大きく広げられる。あと、カメラ機能があるので、観察や実験の記録、体育での運動の様子を簡単に記録できるので、視覚的に学ぶ機会や可能性が広がった。ただし、盗撮や無許可の録音によるトラブル発生が非常に警戒される。
・中学生の兄弟が家でiPadを使ってYouTubeを閲覧し、学習とは全く関係のないことに使用している様で、保護者の監督が期待できないケースもあります。小学生では一層のこと判断や分別がつかないので、新たな問題の発生を防ぐ対策を講じる必要を感じました。
・教室のWi-Fi環境も他市に比べて優れていますが、全員でインターネット回線にアクセスすると繋がりにくく、2クラス程度が同時に行うと、かなり厳しい状況です。これでは自由に使おうとしても機動性が失われてしまいます。
・今、一番心配なのはデジタル格差と言えば良いのか、より子ども達の間に能力差が生まれるのではないかということです。進学や就職に関して更に差が開くのは可愛そうにも思います。学校現場だけでは難しく、家庭での教育(支え)があるのと、無いのとでは成長の度合いが違うと思います。一定以上の能力(同じ土俵)を身に付けた上で勝負ができるように現場だけでなく、役所や家庭での工夫・改善を求めたいです。(青着色 馬居)
余談ですが、視力の低下や疾患の増加も懸念しています。

N先生は学生時代に私の研究室のリーダーとして活躍し、調査実習で鍛えた構想力と実践力と統率力により、優れた教師に育つ道を着実に歩まれています。その勢いを上記メール文からも読みとれると思います。それだけに、気になったのは青字の部分です。「デジタル格差」との言葉で掉さす文脈によって描かれる課題は、RTのテーマに直結します。N先生の問いに応える答えとして、“一人一台PGタブレットの配布”を、Digital Transformation&Diversityの相補性構築への契機に転換(育む)するための処方箋がRTで生まれることを願っています。
 その準備作業として、3人研究会(望月、西本、馬居)による検討メモ(文責馬居)を提示します。

  第1回web研究会のための検討課題メモ   

1.現場の現実、学校の実情への理解が必要だが・・その先に見えるのは・・・

1)電気とWi-Fiの容量を予見できず?準備不足ではなく当事者能力と意欲の欠如!
 ⒈一人⒉一台PCに必要なハード(配線と容量)を誰も予見できず
 ⒉教員の多数派にPC活用の意欲も経験もなくDXの理解と共有化も進まずでは!
2)支援と助言と指導の側の能力と意欲の現実は・・・・
 ⒊保護者への情報提供、協力依頼、準備教育の必要性の自覚➡どこまで!
 ⒋学童保育の現状➡宿題は容認だがPC環境はヒト・モノ・コト全て無しでは!
 ⒌ 専門業者の理解、意図、指導可能領域➡機器操作を出る領域は専門外では!
 ⒍教育行政➡旧来のPC室、学校数台の延長では
      ➡
専門性の領域と必要性の理解不可では!
 ⒎GIGAスクールの霞ヶ関的カスミの産物(予算獲得のフィクション)では!
2.授業力の高さを評価してきた静岡と秋田の継続調査の現場からの報告からの問い
 1)新年度開始時の学校と教室と教員の一人一台PC活用進捗状況のReality
 1.悪い意味で予想通り➡教員にとってデジタル化は余計なこと(忙しくて無理!)
     ➡管理職にとっては、上から言われたから(教員全て指導は、無理!)
 2.旧来の教育機器の一つ?これまでのPC、電子黒板、プロジェクター、DVDと同じ
 3.できる人が使えばよい、
騒がられるのは最初だけ・・・連休が始まれば・・
2)コロナ休校時のオンライン学習(格差)から入ったことが不幸のもと(私見だが)                                        4. GIGAスクールは経産省の事業➡2割の子どもが対象(文科省の友人情報)
 5.文科省は手を挙げた学校のみを対象に➡デジタル化の弊害のほうが関心ごと
 6. 学校教育三要素の知、徳、体の統制可能は徳と体➡忖度、空気、集団への帰属
 7. 学区制と学習指導要領の制約➡対象の多様性、多元可変性を均一均等に見立てる
3)やるべきとことより出来ることで進む学校教育のRealityへの依存(予定調和)
 8. 文科省も含めて、すべての子どもが一斉にPCとインターネットを使用することが
  可能なインフラを 想定できない愚かさの見本市になりかねない現実・・・?

 9.統制すること、されること、みんな一緒に並ぶこと以外の選択肢を隠したことを
  忘れた日本社会(政治と行政、報道と世論、識見と評論、常識と慣習・・・)

4)一人一人が異なる人生を歩む(ざるを得ない)現実との対峙から忌避、逃避、無視
 10.その対処を新自由主義、個人主義、空気を読まない、とのラベルを貼って、
   現状を否定する論理とエビデンスにすり替える知の怠惰・・・

5)女性の能力、活躍、昇進、登用、120番目の尺度のまやかし
 11.専業主婦の選択肢が、男女を問わず、個々の自立を妨げる社会的道具に
 12.学校教育の目的、学力の構成要素の中に、人間の再生産の項目が入っていない
  ➡Society 5.0に人の社会の再生産の項目は消滅
6)学校教育と対峙する家族のあり方の位置付け
 13.女性の就労、男性の就労、子どもの養育、人としての自立の困難の
                             教育課程は何処に!

 14.親の再生産、その前に一夫一婦制のルール≒パートナー獲得方法習得は何処で!
 15.ライラサイクル、人の生きる条件の学習成果は学力の概念に含まれず
7)格差と差異と差別の再定義?分別の基準の解体と再構築への判断忌避からの離脱を
 16.格差と平等(機会と結果)と多様(個性、障害、ハンディ・・)の判別式を
 17.批判と同意、同情と目線の上下、主体の数値化が隠す現場のリアルへ
                               謙虚の蘇生を!

 18.虚構の安心、安全への安住からの脱皮を?風呂の中のカエルからの離別を

 

 

 

 

2021年5月13日

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